小学校学習指導要領音楽編への意見具申

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山本弘

教材曲についての疑問


 義務教育の教科は、教科書教材によって統一され、全教師が力を合わせて子どもを育てる。
 だから、誰が受け持っても1年教育した成果は次の学年に引き継ぎされ、積み上げられて子どもは成長していく。
 そのために教材を選ぶ前に、その教科の育てるべき内容が存在する。
 例えば、系統の最もはっきりしている算数では、下記の内容が存在する。



 上記の内容により、教材は、
 @ 赤いバス5台と、青いバス6台が並んでいます。みんなで何台でしょう。
 A 1本5円のえんぴつを8本買いました。お金はいくら払うでしょう。
 B 50円あります。これで1本8円のえんぴつが何本買えるでしょう。
などの教材が生まれる。

 また、理科では下記のように、



 音は物が振動して発生し、物を伝わり、強弱、高低、反射、吸収などと変化する。又、伝わる物の質によっても異なる。
 などの内容を、教科書では、2年で“音あそび”、3年で“糸でんわ”、5年で“音”という教材が後から生まれる。
 しかし、音楽の教材は子どもの学習とは何の関係もない【独立曲】である。だから、子どもの音楽能力を育てるための内容とは無関係な内容である。まして系統などあるはずもない。
 そのため、独立曲を並べても、その内容は教育的な関連は何も存在しない。

 左の曲は昔の2年生の共通教材であるが、その内容は図示したように教育とは無関係で、またそれが当然の独立曲なのである。
 随分昔の話であるが、岐阜県が当時採用していた教科書3社が採用した曲を調べてみた。
 その結果が下記のようであった。

教科書会社による曲の選択
岐阜県学年1年2年3年4年5年6年
3社の使用総曲数6774869091106
3社とも使用曲数

 この数字が示すように、その学年に必要欠くべからざる曲というものは存在しない。
 つまり、その曲のもっている雰囲気が学年に合うというだけの理由でその学年の教科書に採用されただけのものである。
 勿論、独立曲であるから、音楽教育のためなど考えて作曲したものではない。
 だから、音楽能力を育てるためには、別の系統が必要なのである。
 ハンガリーのコダーイや、リズム系統を重視したオルフなど音楽教育先進国の試みが頷ける。
 かと言って、これは母国語が基本になっていたり、リズムなどの系統であったり、そのまま日本の国情に合わせるのは無理がある。
 その時、(昭和35年頃と思うが)指導要領改訂で音楽科に「統合学習」理論が示され、その理論から生まれた「ふしづくり」での実践校の[温知小学校]が昭和41・42年度には文部省の実験学校に指定されて、成果を上げた。
 だが、文部省の教材による指導方法(通称「教材一本立て」)に対する、別系統(ふしづくり)を持つ「二本立て」として、相対する感じのものと捉えられて、音楽教育界を二分する論争となってしまった。
 そして、これを引き継いだ古川小学校の12年に渡る自主研究の成果は前述のように、その驚異的な全校の子どもの高度な音楽力や、その学習振りに『古川詣で』の新語を生む異常事態になった。
 しかし、文部省のいう「教材一本立て」に対し、[“ふしづくり”という別系統で育てた、つまり「二本立て」]だとして、「錦の御旗」の前に姿を消してしまった。
 (裏には、主要教科なら良いが、音楽で有名になっても仕方がないという社会情勢もあったよう)


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