心の虹―515号(2002.4.3)

心 の 虹

テキストとメソッドを明確にする
斎 藤 孝 氏 講 演

 2002年4月3日、FM東京で向山洋一教育ステーションが行われた。斎藤孝氏講演の概要を紹介する。


1.『声に出して読みたい日本語』は70歳以上の本好きの方に受けました。
 読書は卓球と同じです。知力が支配するのではなく、技術なのです。
 スポーツ・技の上達の論理は全てに通じます。
2.身体を基盤にした教育を考えています。練習すればできる、技の積み重ねです。シンプルにしていきます。
 技の積み重ねで大切なのは、テキストとメソッドの二つです。
3.テキストは吟味します。莫大な練習をしますからそれに耐えるテキストを作ります。
 次は強力なメソッドに絞ります。
 総合的な学習には、テキストとメソッドがありません。
4.相撲の四股(しこ)はちびっこ相撲でもプロの相撲でも踏みます。四股を踏むことが強くなることです。パフォーマンスと四股は違います。
5.四股は非自然です。ですから練習はつらいです。しかし、高い教育プログラムがあります。
6.『声に出して読みたい日本語』は、日本語の教科書にしていきたいです。
7.本物に出会うことが大切です。
 型があります。型は最高レベェルのものを最初から行います。
 ワンパターンです。退屈です。技の修得には2万回の練習が必要です。
8.同じことを繰り返していると、成長の度合いが分かります。
 型にはまった方が恥ずかしくありません。

※この後、弁天娘白波女男白波(白波五人男)をテキストにして、実際に朗読をしました。4〜5人のグループにして、一句ずつ順番に読んでいきます。向山先生も読んでいました。
※続いて3色ボールペンの使用の仕方を実際に行いました。
※3人の暗唱の模擬授業の後、向山先生と対談されました。その中で以下のことを話されました。

1.アレンジがきいています。量が大事です。授業中にやってほしいです。何十回というトレーニングが良いです。
2.タケノコ読みというのはいいですね。外国の授業で見たことがありますが、1時間で200回から300回繰り返していました。スピーディーな繰り返しが大切です。
3.悲しみという感情は理解力が育っていきます。美しい悲しみが分かると他のものが分かります。情緒になります。
4.認識を共有します。何の力を付けているのか、認識を共有させます。
5.ストレッチングでどこを伸ばしているのかが分かれば伸びます。
6.認識、意識しなければ力はつきません。
 すごみのある教材を見せなければ子供の心は揺り動かせません。バスケットボールであれば、マイケル・ジョウダンクラスのものを見せます。


 札幌市の割石隆浩先生より、次のメールが入った。
 本日TBSの7時からの番組で斎藤孝先生が出演していたようです。妻が見ていて私は見ていません。どなたか内容を知っていませんか

 次の返信をお送りした。
 昨夜の斎藤孝氏のテレビ、偶然に一部見ていました。内容は小さい頃に育てておきたい脳の働きということで、斎藤氏が主張している三つの力を紹介し、実際に子供たちが活動していました。新学期を意識した番組でした。
 まねる力、コメント力、段取り力のそれぞれについて具体的な活動を幼稚園児、小学生が行っていました。
 まねる力ではカンガルーの跳び方を先生の真似をして跳んでいました。模倣の動きです。
 コメント力では鉄棒で腕の伸びきった逆上がりを行い、どこが悪いかなと子供に聞き、腕が伸びきっていると言わせました。
 この場面では、言語化して言葉で言わせることが大切であると話していました。向山洋一教育ステーションでは、意識して行わなければ動きは良くならないと話していました。
 例えば、ストレッチでどこの筋肉が伸ばしているかが分かれば伸びる。意識して動かさないと伸びない。何の力を付けたいのかの共通認識をさせることが大事で、認識しなければ力は付かないと話していました。これは発問・指示で分かる力を育て、認識力をつけるTOSS体育の考え方と同じだなと思いました。
 段取り力ではグループで目的地まで、地図を見ながら行ったり、料理を作るなどをしていました。試行錯誤をする中で、見通す力を付けていくのです。
 憧れに憧れることも脳を伸ばすには必要であるとも言っていました。向山教育ステーションでは、すごみのある教材を見せないと子供の心は揺り動かせない。例えば、バスケットボールで言えば、マイケル・ジョーダンクラスの最高のものを見せないと憧れは生まれないと話していました。
 以上が概要です。ソーランを作る上で大変参考になる番組でした。誰かがビデオを撮っていましたらご覧下さい。体育・健康MLで聞いてみて下さい。誰かが撮っているかもしれません。

【ソーランづくりへの指針】
 1.子供が憧れを持つような最高の曲、振り付けをする。子供が真似をしたくなる内容にする。真似る力をつける。
 2.何の力を付けたいのかの共通認識をする。一つ一つの動きの意味を明確にする。指導場面で、子供の言葉で言語化し子供に言わせていく。コメント力をつける。
 3.グループで試行錯誤をさせながら自分たちの動きを創らせていく。相互評価を通して段取り力を付けていく。

 そのような過程を踏むことによって、ソーランはたんなる踊りではなく、子供にとって必要な脳の働きを高めていくことができるのです。
 ソーランは腰・はらの身体感覚を取り戻すことと人間にとって必要な三つの生きる力をつけることのできる教材にして下さい。それが出来たら日本の教育はかわります。
 音楽を聴いただけで子供の魂が揺り動かされ、踊りを見ただけで全身が震える内容に御願いいたします。マイケル・ジョーダンクラスの最高のものをビデオにして下さい。宜しく御願いいたします。


 斎藤孝氏が主張されたテキストとメソッドが必要だという実践は、すでに法則化体育は実践してきた。
 向山式跳び箱指導法、飯田・根本式段階別逆上がり指導法、根本式抱え込み指導法などは全てそうである。
 法則化論文はテキストである。それに対してこの方法でどのくらいやればどのくらい出来るようになるという方法を明示している。
 多くの追試に耐えるテキストとメソッドの実践を行ってきたのである。法則化体育の理論的な裏付けが斎藤氏の講演によってなされた。
 これからも斎藤氏から学んでいきたい。


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