根本直伝学級経営術

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根本正雄(TOSS体育授業研究会代表)

授業中の子供理解の重点
目の輝きで子供を理解する


1.目で理解していく

 体育で飛び込みの授業をする機会がある。初めて会う子供といきなり授業を行なうのである。
 子供の実態はまったく分からない。どの子供が跳べてどの子供が跳べないかは、事前には分からない。
 そういう子供たちとの授業を成立させるには、瞬間的に子供理解をしていく以外にない。
 この子供は教師に何を求めているのか、授業でどのようになりたいのかを咄嗟に理解していくのである。
 子供の求めていることに答えていく中で授業は成立する。飛び込み授業の最初の頃は、それが出来なかった。
 何を手がかりにして子供理解を行なえばよいのかが、つかめていなかったからである。
 何度か繰り返す中で出来るようになった。子供理解のコツをつかんだのである。それは子供の目を見て、瞬間的に理解する方法である。
 飛び込みの授業で子供を理解するのに一番よいのは目である。目の輝き、目の曇り具合を見て判断していくのである。
 跳び箱の抱え込み跳びで示範の場面があった。「跳んでみたい人いますか」と聞いた。何人かの子供が手を上げた。
 跳ぶイメージを作るのであるから、上手に跳べる子供でなければならない。誰を指名するかを決めるのは、目の輝きである。
 「絶対に跳べる」という子供の目は輝いている。必死になって教師の目に訴えてくる。そういう子供を指名すると、ほとんど期待する跳び方をしてくれる。
 逆に目をそらす子供がいる。目の輝きの弱い子供がいる。そういう子供は自信がないのである。
 個別指導はそういう子供を対象にする。グループ学習を行なっている時に、そっと補助をしてあげる。
 「うまい。上手になったよ」と声を掛けてあげる。その瞬間、子供の目がパッと輝く。
 「もう少し高い所で跳んでごらん。必ず跳べるから」と声をかけると、不安げな目になる。
 その時、視線を合わせる。「大丈夫、君なら必ず跳べる」と励ましの視線を送る。子供は教師の視線に答え、見事に飛び越すことが出来た。
 目は正直である。言葉を交わすよりも子供を理解することが出来る。目の輝きで子供が理解できるようになってから、私の飛び込みの授業はよくなった。
 子供の目を見て、補助をしてほしいのか、助言を求めているのか、誉めてほしいのかを咄嗟に理解していくのである。

2.声で理解していく

 H君は4年生になった。朝、元気よく「おはようございます」と言って職員室に入ってくる。
 「放送室の鍵を貸してください」。
 「H君、放送委員になったの?放送委員になりたい人たくさんいたでしょう」。
 「はい、立候補する人がたくさんいたので、ジャンケンできめました。僕は運良くジャンケンに勝って、放送委員になれました」。
 放送委員になったH君は、毎日溌溂としている。あこがれの放送委員になれたのである。委員会活動は4年生からである。
 子供の希望が一番多いのが放送委員会である。自分の声が全校に流れるのは快感である。全校集会や昼の放送での仕事は全校の子供に活動が見える。
 そういう晴れやかな舞台に立てる放送委員になれたのである。H君の喜びが私にも伝わって来た。
 私がH君に出会ったのは3年前に転任してきた時である。放課後何人かの子供と運動場で遊んでいた。
 「H君、落ちているボールを体育倉庫に入れてきれくれない?」。
 「どうして、僕が入れてこないといけないんですか」。
 暗い表情で、反抗的な目つきで私を見ながら言った。言葉も乱暴で態度もふてくされていた。「いやに反抗的な子供だな」と今でも印象に強く残っている。
 その彼が4年生になって、明るくなった。以前のような暗さはなく、よくしゃべり活動的になった。
 4年生の体育の授業を受け持っている。H君は一番前に並んでいる。「先生、今日は何をするんですか」と元気良く聞いてくる。
 その明るい声を聞いて、H君の変わったことが理解出来た。
 「ボールを出しますので、体育倉庫の鍵を貸して下さい」。
 「君は体育委員なの?」。
 「わたくしは放送委員ですが、体育委員のY君に頼まれました」。
 H君は自分のことを「わたくし」と 言った。丁寧な言葉で、はきはきと話している。3年前とはまるっきり異なっている。
 放送委員になり張り切っているだけではなく、彼の内面で大きな転機があったに違いない。
 声を通して子供理解が出来るのである。暗く、ふてぶてしかった以前の声から明るく快活になった声を聞き、H君の内面を理解することが出来た。
 自分の出来ることをがんばって、強く生きていこうとする姿勢が見られる。
 そんなH君を見ているとすがすがしさを感じる。そして、「H君、がんばれ!」と声をかけたくなる。

3.

 1年生の授業研究会が行なわれた。「コンピュータと友達になろう」という題材で、授業が展開された。
 研究主題は次の通りである。

個性を生かし、自ら実践していく子どもを育てるには、どのようにしたらよいか。
コンピュータを取り入れた学習指導

 本年度はどの学年もコンピュータを取り入れた授業を行なうことになっている。1年生の授業は大変面白かった。
 「児童が主体的にコンピュータの操作に慣れ親しむ機会を設ければ、進んでコンピュータを活用したり表現したりする力が育つだろう」という仮説で行なわれた。
 その仮説の手立てとして、4つの具体的な方法を考えた。

 1.操作に対する不安を取り除く。
 2.ジャンケンゲームにコンピュータを取り込む。
 3.資料の用意をする。
 4.操作技能を感覚でつかませる。

 本時の目標は、コンピュータを利用して友達と楽しくゲームをすることができるようにすることと、コンピュータを使っての色塗りの便利さに気づくことができるようにすることであった。
 そのために、「ジャンケンゲーム」を取り入れた。グループごとにスタンプが押してある。
 ジャンケンで1回勝つごとにスタンプを線で囲んで、あらかじめ決めておいた色を塗る。最後に獲得したスタンプの数で勝敗を決めていくというルールである。
 ジャンケンゲームが子供の意欲を引き出した。自分にも勝てる可能性があるので、真剣である。その結果、色が塗れるのであるから勝った子供は大喜びである。
 遊びを通して、楽しみながらコンピュータの操作が身に付くのである。この教材化は優れていた。
 講師先生から次の指導をいただいた。

1.ジャンケンゲームは、作業する上でストレスを除いて簡単な操作で活動できてよい。子供の願いと教師の願いが一致している。
2.モデル送信が出来ている。モニターを良く見ている。
3.コンピュータとの幸せな出会いは技能に走らなくてもよい。文字、写真、動画、音、声、アニメ(マルチメディア)などの魔法の箱を使うといろいろ出来ることを理解させる。


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