根本直伝学級経営術
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根本正雄(TOSS体育授業研究会代表)
日本の子どもたちに何が必要か
感性をみがく教育
1.プロカメラマンの話
年配のプロカメラマンと話す機会があった。
「どうしたらよい写真が撮れますか。」
「写真は発見です。漫然と見ていては撮れません。洞察力、観察力が必要なのです。そのためにどんな写真が撮りたいのかのイメージを常に持って、潜在意識にまで働きかけていくのです。」
「具体的にどのようにするのですか。」
「私は高校野球の写真を撮る練習をしました。バッターがボ−ルを打つ瞬間を撮るには、ピッチャーがボールを投げた時にシャッターを押すのです。それも右肩が動いた瞬間にシャッターを押すのです。ボールを捕る瞬間の場面は、ファインダーを見ません。ですから、予測能力が必要なのです。どうなるかを予測して撮るのです。」
経験に基づいた貴重な話をいろいろ聞くことが出来た。最後に次の質問をした。
「写真で最も大事なのは何でしょうか。」
「感性ですね。」
一瞬、「感性とは何か」「どうしたら感性をみがくことができるのか」と考えた。
2.感性をみがく教育
現在の学校で、感性をみがく教育が行われているだろうか。
知識・理解や技能面の指導は行われてきた。しかし、感性をみがく教育はしてこなかったように思われる。
いじめや不登校の問題がが叫ばれている。それらの問題を解決するには、理屈や論理以前に物事に対する鋭い感性が必要な気がする。
いじめをする時に理屈ではなく、感覚で「これはいけないことだ」と感じる心である。
そのような教育はどのようにしたらよいのだろうか。
前述のプロカメラマンに、「どうしたら感性をみがくことができるでしょうか。」とたずねた。
「テーマを持つことです。」と短く、はっきりと断定された。
「具体的には、どのようにするのでしょうか」
「写真を撮る時に一つのテーマを持つのです。例えば、一つの風景を決め何十年も撮るのです。
あるいは、全国を歩いて黄色の物を撮って歩くのです。長く継続して見ていく中で、物の多面性や本質性が見えてくるのです。
物の多面性や本質性に触れる中で、感性がみがかれていくのです。物の善し悪しが理屈ではなく体で分かるようになるのです。」
プロカメラマンは、テーマを持って対象を撮り続けることが感性をみがくことにつながると話してくれた。感性をみがいていく中でよい写真が撮れるのである。
教育も同じである。真・善・美に対する感性をみがくことが大事なのである。
心理とは何か、善とは何か、美とは何かというテーマを持って教育していくことが大事なのである。
現在の学校教育ではそういう視点での指導が欠けている。人間として生きていく上で、何が大切なのかを教えていないのである。
3.どのように感性をみがいていくか
では、どのようにしたら教育の場で、感性をみがくことができるだろうか。
1.本物を見せていく。
2.問題解決能力をつけていく。
感性をみがくには、本物を見せていくことが一番である。本物を見、本物に接することによって真・善・美に対する感性がみがかれていく。
マラソンのテレビ中継をよく見る。瀬古選手のフォームは美しかった。上下の動きがなく、視線が前方の一点を見つめていた。
美しいということは、無駄がないことであり、運動力学的に合理的な動きをしているのである。
最小エルギーで最大の力を発揮している。つまり、動きの原則にのっとっているので、フォームが美しいのである。
本物を見ていくことは、物を見る基準を作っていくことである。何が真理で何が善で何が美なのかを認識していくことである。
本物に接し、本物に触れる教育をしていく必要がある。
次に大事なのは、問題解決能力をつけていくことである。基準を作っていくと同時に、基準に合わない時どうするのか、どのように解決し基準に到達していくかの力をつけていくのである。
そのためには、体験活動が効果的である。実際に体験させ、その中から問題を発見し、解決する力をつけていくのである。
本物を見せていく中で基準を作り、問題を解決していく中で、鋭い感性がみがかれていくのである。
感性のみがかれた子どもにしていきたい。
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