根本直伝講座U

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根本正雄(TOSS体育授業研究会代表)


. 全員泳げるちょうちょう背泳ぎ

1.命を守るための水泳指導

 水泳の目標は、水の事故にあった時、自分の命をどう守るかにある。
 命を守るための水泳指導をどうするかということで、鈴木智光氏は、背浮き、ちょうちょう背泳ぎ、背泳ぎという指導の流れが効果的であると主張している。(鈴木智光著「体育指導のコツ3 水泳指導のコツ明治図書)
 法則化体育では、背浮きから入る方法で追試を行い、大きな成果を上げている。
 私も3年生、4年生で実践したが効果は抜群であった。顔を水に付けられなかった子供が、10時間の指導で25メ−トル泳げるようになったのである。
 まったく泳げないというのは、水に浮くことができず、「泳ぎなさい。」と言われても歩くことしかできない状態である。
 この子供たちを10時間で25メートル泳げるようにする指導のステップを、鈴木智光氏の実践を元に次のように行った。

 1.背浮き(仰向けで浮く)
 2.背浮きで進む
 3.ちょうちょう背泳ぎ
 4.伏し浮きの呼吸法
 5.平泳ぎ
 6.クロール

 この結果、泳げなかった子供もがちょうちょう背泳ぎで25メートル泳げるようになった。以下にその実践を示す。

2.3年生での実践

 3年生で背浮きとちょうちょう背泳ぎの実践をした。
 第5時間目の授業を次のように行った。

[背浮きの場面は省略]

発問2  ちょうちょう背泳ぎをします。手と足どちらの練習から始めると泳ぎやすいですか。
  ア、手 イ、足 ウ、両方同時

 ア、手 9人  イ、足 6人  ウ、両方同時 4人
 手から始めるというのが一番多い。これも実際にやってみることにした。

指示1  どれが一番泳ぎやすいか、2人1組で確かめなさい。

 いきなり1人ではできないので、これも最初は補助付きで行った。手と足、同時に動かすと腰が曲がり、沈んでいく。
 足だけだと上手な子供は浮いているが、上手でない子供は沈んでいく。一番いいのは手から始める動きである。足は動かさないで、手だけ小さく動かしていく。
 動きの原理として、手から始めたほうが動きが作りやすいのである。

説明  ちょうちょう背泳ぎをする時に手から練習していきます。その後足を入れて練習します。手と足両方だと難しいです。

 2人1組で練習をさせた。補助付きで全員ができるようになった。林さんは、とても上手だったので、補助無しでやってもらちょう背泳ぎに挑戦した。
 見事に身体が浮いてちょうちょう背泳ぎで6メ−トル泳げた。
 一斉に拍手が起こった。この次の時間は1人でちょうちょう背泳ぎに挑戦することにして終わった。

 このようにちょうちょう背泳ぎは泳げない子供にとっては、非常に入りやすい泳法である。

3.泳げない子供にとっての水泳指導

 法則化体育は、現在新しい水泳の指導法について実践している。学習指導要領に示された内容が、本当に適切であるのかを検討している。
 学習指導要領では、伏し浮き、面かぶりクロール、平泳ぎという指導の系統になっている。
 泳げない子供にとって、この系統が本当に良いのであろうか。子供が泳げるまでには、いろいろな方法がある。
 泳げない子供に応じて、手立てを考えていくことが必要である。
 水が恐く泳げない子供にいきなり泳法指導をしても無理である。5年生だからクロールから入るのがよいとは言えない。
 子供の実態を診断して、指導の方法を決めていく。そのためには、いろいろな手立てを開発しておくことが大事である。
 子供の実態に応じて、適切な指導の方法を選択していくことが重要である。
 水に顔を付けられない子供がいる。こういう子供に、伏し浮きをさせようとしても無理である。
 長年、水泳指導をしてきたが、水が恐い子供、水慣れしていない子供、顔が水に付けられない子供、泳げない子供にとって最も入りやすい泳ぎは、背浮きから入る方法である。

 ○ 呼吸ができる
 ○ 目が開けられる

 顔が水に付けられない子供は呼吸ができず、目が開けられないのである。だから、呼吸ができ、目が開けられる状態から指導をしていけばいいのである。
 その方法として、背浮きからはいる方法は優れている。呼吸もでき、目も開けられるからである。
 オリンピックで金メダルをとった鈴木大地選手も、最初は水が恐く背泳ぎから入ったという。
 背浮き、背泳ぎから入る指導法が良いと分かりながら、なぜか現場ではクロール、平泳ぎから入る指導法が行われてきた。
 伏し浮き、面かぶりクロ−ル、クロールという系統が重視されているのである。水慣れのしていない子供にとっては、難しい流れである。
 こういう子供は、たいてい理由を見つけて見学して、水に入ろうとしない泳ぎの嫌いな子供を作っているのである。
 長年、水泳指導をしてきた経験から泳ぎが適しているといえる。
 背浮き、背泳ぎからはいる方法が泳げない子供の実態にあっているのである。
 学習指導要領に示されている内容も間違いではない。しかし、泳げない子供、顔を水につけられない子供にとってはもっと別の指導系統が必要なのである。
 背浮き、ちょうちょう背泳ぎ、背泳ぎの系統が本当に効果があるのか実際に確かめて欲しい。


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